オトナ塾

地域の小さな公民館で、講師を呼んで大人を対象としたセミナーのようなものが
定期的に開かれています。
それが「オトナ塾」なのですが、もう4回目だそうで
今回は「わが国のしつけを考える」というテーマで、私は初めて参加してきました。


実は私はこのセミナーの存在をよく知らず、人数集めの為に友人に頼まれて出席しました。
友人から渡された参加者募集のチラシを見ると
「世の中マナーの悪い人が多すぎます。こんなことでは美しい国など作れるはずが
ありません。いじめや自殺の報道が多いですが、その根底にはしつけ教育の崩壊が
あるのではないでしょうか。しつけに関する世代別意識調査をもとにして、わが国の
しつけの現状を明らかにします。」と書かれていました。


意識調査云々、現状を明らかに・・・
こんな感じだと話を聴いていてもきっと眠くなっちゃうんだろうナァ・・・
なんて不謹慎なことを思いながら出席しました。


ところが!!
感激して帰ってきました。
参加してよかった。


東洋大学経営学部の教授をやっておられる方が講師として
来てくださっていましたが、あったか〜い講義でした。
悩みを抱えた親御さんの相談にのることもあり、子供さんとも実際に
関わって来られた方のようでした。
どうりで人情味のある話し方をされるはず。


最初に「こんにちは」と挨拶を交わし
人に挨拶をするときに、音階でいう「ラ」の音で発声すると
挨拶された側は元気になるんですよ。から始まりました。
これは98歳で現役のあの日野原重明先生にお会いしたときに聴いた話で
それをいただきました(笑)・・・だそうです。それも凄い。


ポイントポイントを聴きながら
そうだそうだと思いながらも、忙しかったり他の事で心配事などがあると
ついついおろそかにされがちなこと。
だけどこういうことは親がいつも心に留め、忘れてはいけないこと
やっぱりボーっと生きてちゃいけないんだナァ、と思いました。


終わってみればたった4つのポイントでしたが
肝心な意識調査のデータなどは、「家に帰ってゆっくり見てもらえば
わかることですから、ここでは具体的なお話をさせていただきます」
と言うことで、時間を潰すのが勿体無いような話は省いたにも関わらず
1時間半の予定が延長し2時間たっぷりかかっての具体的な話だったので
心に響き、心に残る内容でした。


高校生の男の子二人兄弟を持つお母さんからの質問がありました。
下の子は馬が合い何でも話しやすいけど、お兄ちゃんは小さい頃から
馬が合わないのか親の立場からしても話がしにくく
進路のことを考えなければいけない時期になっているのに
歯がゆい思いをしている。


これに対する先生からのアドバイスは、明確なものでした。
「いろんな見方がありどれも正解なんです。
一方的な見方考え方でそれが正解、なんてことはないです」

と、ここで月の表面の拡大写真が張り出されました。
「これをよく見てください。月の表面の写真ですね。
ところで、自分が小さかった頃の一番楽しかった思い出を思い浮かべて
15秒間目を瞑ってください」と指示があったので
全員で「せーの」で目を瞑りました。


15秒経って目を開けて月の表面の写真を見たら、ビックリ!!
さっき窪んで見えていたところが出っ張って見えるのです。
先生がおっしゃるには、みんなが目を閉じている間に
上下逆さまにしただけだそうで。
「出っ張って見えるのは皆さんの心がピュアだからです」と。
上下逆さまだと光の当たり具合が違って見えるので、最初に窪んで見えたところが
次に見たときには出っ張って見えたのだそうです。


ここで『月の表面が出っ張って見えるはずがないのにおかしいな』などと思てしまって
出っ張って見えると素直に思えないのは、一方的な考え方だけで判断し、
決めつけてしまっているからだ、と言ってました。
窪んで見えるのも正解だし出っ張って見えるのも正解!


たとえて言うならば、お母さんからは窪んで見えているものが
子供さんから見れば出っ張って見えているのかもしれません。
どちらも正解なんです。と
お母さんからすれば、なぜ私の話をちゃんと聞いてくれないのか
ちゃんと話してくれないのか、とイラつき歯がゆく思うのも正解。
でも子供さんからすれば、きちんと話したくても言葉が上手く出てこなくて
イライラしながら自分自身葛藤しているのかも知れません。
お母さんから自分は弟と比べられていると思っているのかもしれません。
それも正解なんです。と


ただ、一方的な見方で相手を判断するのではなく
難しいかもしれないけど、そのイライラ歯がゆくなる思いを忘れるか
一旦脇に置いといてピュアな気持ちに戻って、相手の気持ちになって考える
それがとっても大切なことです、と。


最後に、とっても嬉しいことがあったんです、と
昨年の春に目の前でカルガモの親子(子ガモが5羽)が道路を横断する場面に遭遇した
というエピソードを聞かせてもらいました。
これには皆さんが涙 涙で聞き入っていました。
親が子供を見守る姿勢や家族同士のつながり、など
人間の世界がこうであったらと思うお手本のような姿を
カルガモ親子に見せてもらった、と。




昨日の認知症に対する接し方の講演といい
今日の子育てに関する講演といい、時間が1時間半という短い時間しかなくて・・・
こういう内容の話の時には2時間や3時間じっくりと聴きたいものですね。