貞心尼(ていしんに)[1798〜1872]

主人の父から良寛といったら貞心尼
貞心尼といったら良寛、というくらいこの二人の名前は
一緒に覚えておいた方がよいと教えられました。


貞心尼は長岡出身の人ですが、23歳の頃
柏崎の尼寺に出家し、後に長岡の福島という地にある
閻魔堂に移り、独居修行をしていた頃良寛に出会い
歌の弟子入りをした人です。


貞心尼と良寛は初めて出会った時、30歳と70歳。
随分 歳は離れていますが、その二人の歌のやりとりが
相聞歌(そうもんか)という形で残されています。
師弟愛、兄弟愛、時には恋心、のようなものも
あったのかもしれません。


しかし
貞心尼が良寛と出会って、良寛が亡くなるまで
4年という短い年月ではありますが、その間
尼僧 僧侶という立場で
人間として清らかな純粋な愛のうえで交流を持ち
歌のやりとりをしながら貞心尼は良寛の最期を看取る。


一口で言ってしまうとこんなに簡単になってしまいますが
容易なことではないはずです。
俗的なところを超越したうえで
お互いを深く思い合い
人間として惹かれるところ、一緒にいて安心できるところが
あったからこそできたことだと思います。


でもこれって「俗的なところを超越」がなければ
夫婦のような関係にも思えてきますが・・・。
もし二人がもう少し年齢が近く、違うかたちで出会い
夫婦になっていたらきっと素敵な家庭が築けたんだろうな・・・
なんて、俗人の私は考えてしまいます。(笑)
俗人ではない二人だからこそ、美しい人間愛を築き
保てたのでしょうね。。。
・・・・・というようなことを
父がしてくれた話の中から掴み取ることができました。


貞心尼が独居修行をしていた長岡の福島には
亡くなった私の父親のお墓があるので
閻魔堂にも数回行ったことがあります。
訪れる人も少なく、いつもひっそりとしています。
貞心尼さんが修行をしている姿そのものを感じます。