お囃子の録音作業♪

以前、羽生市無形文化財に指定されている上村君地区の獅子舞いの時に
篠笛で演奏されるお囃子を楽譜に起こして、子どもたちにも馴染みを持たせ
後継者を育て易くして行こう。それについて、お宅の息子さんができるなら
お願いしたいと言われ、ウチの息子がその楽譜を起こす役を
仰せつかっていました。

その後、何年も前に録音されたカセットテープを渡され、それを基に
音を拾う作業ができるかと思っていましたが、音を残すためにきちんと
録音されたものではなく、練習風景や実際のお祭りのときにやっているもので
なんとなく録音が始まり、なんとなく終わって、という録音状況だし
カセットテープのままでは劣化も激しいし・・・
と考えあぐねていたところ、神社総代をやっている方が我が家に来られて
音を残すためにきちんと録音のやり直しをやった方がいいですねぇ、と
いうことになりまして、今日の夜に、長年お囃子を担当されていた人に
集まってもらってデジタルで録音のやり直しをしました。

神社総代をやっている方が地区の研修所を借りてくださっていて
そこに区長さんでもありお囃子を担当されている人と、
お囃子担当の中で一番古い人の二人で演奏してくださいました。
暑い頃、屋根の修理工事でおじゃましたお宅のおじいさんです(^ー^)


今日の録音作業は主人が担当することになっていましたが
息子も今日は仕事が早く終わって参加できるとのことだったので
一緒に出かけました。
私はその様子を残すために2〜3枚写真を撮ったら家に戻る予定でしたが
結局篠笛の本物を見たり、お囃子担当の人たちが若い頃
どんな風にやっていたか、などいろんな話を聞いているうちに
帰るに帰れなくなりまして・・・
結局最後まで一緒にいることになりました(^ ^;)

息子にしてみると、古いカセットテープを渡されてその音だけを聴き取るより
吹いている人の様子を見ながら、篠笛の実際の音を聞きながら
指使いを見ながら音の確認を取れた方が、後で録音された音だけと
向き合う時に戸惑わなくてよいとのことでした。
吹いている時の様子を見ていると、間違って違う音が聞こえても
実際に出したかった音はこっちの音のはず、というのがわかるらしいです。


ちょっと休憩しましょう、という時間に聞いた話では
地域に密着したお囃子というのは、もちろん昔は録音機材など無く
とにかく口伝えで伝えられ、受け継いだ側の音感と記憶力に頼るもので
楽譜というものは元来無いものだそうです。更に伝える側の主観も入るので
時が経つにつれ、多少は変わってくるものだということです。
村君地区に伝わるこの獅子舞いは、基は秩父の方で
そちらから流れてきたものらしいとのことです。
隣りの加須市行田市にも同じような獅子舞いやお囃子があるらしいですが
「同じ秩父から伝わったものだと思うが、言葉で言う方言のようなもので
地域によって微妙に違って来るのだろう」と仰ってました。

「辻固め」とか「弓掛け」とか「道中」とか「すり込み」など
他にもいろんな題がつけられているお囃子がありますが
獅子の動きを誘導するためのようなもので、獅子の動きを見ながら
音を出し、獅子は笛の音を聴きながら舞うのだそうです。

昔は一軒一軒回って獅子舞いをやっていたそうで、全部終わるのに
三日も四日もかかっていたそうです。今はそこまではやらなくなったし
昔のように全部の種類の舞を舞うことは無くなり、曲を演奏することも
なくなっているし、年に一回しか演奏する機会がないので、
忘れてしまっているものがあるとも仰っていました。
そんな風にしてだんだん消えていくのだなぁ、とちょっと寂しくなりました。
もっと早くから残すことに真剣に取り組んでいたら・・・と悔やまれますが
もうここまできたら仕方のないこと、今がその時だ!ということで
今日集まって録音作業をしましたから。
今日演奏できなかった曲も、折を見てまたやりましょう
ということになりました。

「出だしの音を忘れちゃったからちょっと待ってね」と笑わせられる場面も
ありましたが、デジタル録音も上手く行き
いろんなお話も聞かせてもらいながら有意義な時間を過ごしました。


ところで、
ここで使う篠笛は6つ穴で、いつも東京の浅草で調達するそうですが
この中に、吹いている人の手作りの篠笛が一本あります。
あまりに出来がよくて、どれだかちょっと忘れてしまいましたが(^ ^;)