今週のお題「子供の頃の夢」

小学校の卒業文集に、確か音楽に関わった職業で一躍有名になってみたいと
書いた覚えがあります。
楽器の演奏が好きだったからで、後々演奏家という職に就くのは
並大抵のことでは無理だと悟り、夢はかないませんでしたが
若い頃趣味で地域のアマチュアオーケストラに所属していたことがあるので
有名な人と出会えたことは嬉しいことでした。
有名なだけでなく偉大な方たちでした。


今は亡き、優しい目をしていらした作曲家であり指揮者である石丸寛先生です。
ゴールドブレンドオーケストラとして出演していたとき
目の前で指揮をしてらっしゃいました。
練習中、大勢の中で私が奏でるクラリネットの音を聞き分け、
『素直な澄んだきれいな音を出す子だ』と褒めてたよ、とほかの方からの
聞き伝えですが、石丸先生からのその言葉は私の一生の宝物です。


もう一人はクラリネット奏者の村井祐児先生です。
やはり、別の年のゴールドブレンドコンサートのとき
私は結婚して息子がお腹にいたので演奏会には出なかったのですが
クラリネット奏者で来ておられた村井先生に私のА管のクラリネット
お貸しすることになり、お礼にと先生が色紙にサインを書いてくださいました。
村井先生は現在、東京芸術大学の名誉教授でありますが
当時は現役の教授だったと思います。しかしそんなことを微塵も感じさせない
ざっくばらんな接し方に本当に力の優れた偉大な人は
こうい振る舞いをするんだな、と石丸先生のときもそうでしたが
私が20代の若かりし頃の身に充分に染み渡った覚えがあります。


その色紙には「笛は望郷の念、音楽は失恋の心」と書いてあります。
特にクラシックのクラリネットの音の響きにピッタリの言葉だと思いました。
これも私の一生の宝物です。
自分が音楽関係で有名になりたいという夢は叶えられなかったけれど
そんな夢を抱いて楽器に関わっていたお陰で
大切な宝物がたくさん自分の中にできました。


実は主人とは所属していた地域のオーケストラで出会いました。
そのことと、息子がピアノ調律の職人として今社会で頑張っていることも
大切な宝物かな。