古き良き時代

今日は暑かったです。(´ `;)


今日の現場は浦和区高砂というところでした。
こんな一等地に それはそれは素晴らしい
古き良き時代に建てられた日本家屋のお宅です。


漆喰塗りの妻の壁が剥がれ落ちているところがあって
気になるので塗り替えて欲しいとのことで
主人が友達付き合いをさせてもらっている大工さんから依頼があり
今日行ってきました。


まずは傷んでいるところを剥がす仕事です。
建物の南側と西側東側の三方を塗り直すことになっていますが
傷み方の状況が三方で違っているので
下地の処理の仕方も三方それぞれ変えなければならないことがわかり
予定より時間がかかりそうです。


剥がし始めたら下地の土壁からそっくり一枚こちら側に傾いてくる状況あり、


何年か経って汚れた漆喰の表面を塗装できれいにした上に
また何年か経ってその上に漆喰を塗った形跡があって
2層目の漆喰が下の風化した塗装面から簡単にパッカリ剥がれてしまう状況あり


ずっと雨に当たらずに来たお陰で塗装面が風化せず2層目の漆喰が
しっかり喰いついていて無理して剥がす必要のないところあり。でした。


そのお宅の80歳に近いくらいのお母さんと話をさせていただき
何年くらい経った家なのか聞いてみました。
なんと!! 昭和6年に新築した家で76年経っているそうです。


長年の間にリフォームされている部分、増築されている部分いろいろありますが
「新築当時から変わっていないところがあるんですよ」と話しておられ
建物の奥の方の雨戸はずっと76年間動かしつづけているのだそうです。
当然雨戸も木製、その戸袋も木製です。
雨戸の滑りが悪くならないようによほどの雨降りでない限り
閉める前に必ず敷居を拭いているのだそうです。


もう一つ、造りが洋館になっているところがあり
その部屋の出窓のガラスは誰も割らないから76年間ずっと
そこに存在しているんですよ、と笑っておられました。


その出窓がある洋館の外壁の左官屋さんの仕事が素晴らしいのです!!
いきなり出窓がヒョコッ!ととび出ているのではなく
外壁の下の方からアールで出窓を支えるような形の足??と言ったらいいのか・・・
鏝で仕上げるのはとても大変そうな形をしてます。
それが洗い出し仕上げの左官工事なのです。
こんなの初めて見ました!!


玄関の外の床も四半の形に目地が入った洗い出し仕上げで
主人も、今はこういう仕事は見たくても中々見られない時代になってしまったから
そのためだけでもこちらのお宅に寄せてもらえて良かった、ととても感激していました。


玄関の引き戸ももちろん木製で76年前からのものです。
玄関の脇の小さな窓、この窓はサッシに替わっていましたが
その外側から囲むようについている格子が木製のままでした。
それもちゃんと取り外しが出来るので、年に2回くらいは
外して洗ってきれいにしているのだそうです。


今、ちょうど“昭和”が話題になっていますが
時間がゆっくり過ぎていた頃のよき時代に
それなりのお金をかけて建てられた建物は
こういうものなんだ、と実感しました。
古いものって良いですね。 好きです。 落ち着きます。


なんだかまた遠山記念館に行ってみたくなりました。
       ↓
http://www.e-kinenkan.com/home.htm